二十四節気にあわせて、塩芳軒の御菓子をご紹介いたします。繊細で豊かな和菓子から、うつろいゆく日本の季節をお愉しみください。
Daikan
春隣
羽二重、白餡・氷餅
陽の光がうれしい季節。
寒さの中、梅の蕾は膨らみはじめているようです。
「働いてゐて 大寒もまたたく間」(鈴木真砂女)
新年を迎えてもう20日。春も瞬く間に訪れるのでしょうか。
Shokan
巳の春
薯藷、こし餡・金箔
巳年は「新しいことがはじまる年」と言われるそうです。
「新年の 白紙綴じたる 句帖かな」(正岡子規)
新たな気持ちではじまる新年。
皆様にとってより良い一年になりますように。
Touji
一陽
羽二重、白餡・柚子
今年もあと10日ほどになりました。
「早発の 六時は暗し 冬至かな」(稲畑汀子)
明日からは日は長くなりますが、寒さ厳しい時期に入ります。
南瓜を食べたり、柚子湯に入ったり…。寒い冬を元気に過ごしたいですね。
Taisetsu
冬庭
大麦薯藷、こし餡
鮮やかに彩った木々が落葉へと姿を変え、枯園に郷愁を想うころ。
クリスマスや新年の装飾も目にするようになります。
「忙しく 時計の動く 師走哉」(子規)
今年も気忙しい日々がはじまりますね。
Shosetsu
冬日向
薯藷煉切、こし餡
季節が急いで進み、夏日を懐かしく思うほどころ。
「大空の 片隅にある 冬日かな」(高浜虚子)
寒い日の陽だまりは嬉しいものですね。
寒さも本格的になってまいります。どうぞご自愛いただきますように。
Rittou
銀杏並木
薯藷餡、こし餡
堀川通のイチョウの木々が少し色づきはじめました。
青空と黄色と残った緑の美しいコントラスト。
「あたたかき 十一月も すみにけり」(中村草田男)
行楽に相応しい気候になってきましたね。
Soko
照葉
こなし、白餡
朝夕に吹く風が少しずつ冷たくなってきました。
一雨ごとに木々が染められるように色づく季節。
「つたの葉は 昔めきたる 紅葉かな」(芭蕉)
山や草木も色づく、美しい季節がはじまりますね。
Kanro
初黄葉
朝晩は空気の冷たさを感じるようになりました。
「道暮れて 右も左も 刈田かな」(日野草城)
日に日に変わる風景に想う、うららかな秋。
木々もそろそろ色づきはじめるころでしょうか。
Shubun
月あかり
黄味時雨、栗あん
「名月や 畳の上に 松の影」(宝井其角)
今年の十五夜は美しい月を望むことができました。
三日月、十三夜、十六夜など、多くの呼び名を持つ月。
自然美「雪月花」の一つとしても、昔から愛でられていたのですね。
Hakuro
秋径
ういろう、白餡
「あかあかと 日はつれなくも 秋の風」(芭蕉)
ようやく秋らしさを感じる時季になりました。
小径の緑も初夏の若い緑から濃い緑、少し老いた秋の緑へと。
行楽にふさわしい季節がはじまりますね。
Shosho
野辺の花
暑さも和らぐころ、夏の疲れが出てくる時期でしょうか。
外に出ると秋草が見ごろを迎えるころになりました。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花」(山上憶良)
秋の訪れを感じながら、散策などいかがでしょう
Risshu
火の精
黒糖葛、紅餡
暦では秋を迎ましたが、涼風が吹くのはまだ先のよう。
この暑さの中お盆の行事もはじまりそうです。
「大文字を 待ちつつ歩く 加茂堤」(高浜虚子)
秋風に吹かれながら眺める大文字。懐かしい思い出です
Taisho
夏の夕
ういろう、白餡、銀箔
向日葵に朝顔、蝉の声や西瓜やプール、夏の風物詩です。
梅雨の間には見ることのなかった青い空に白い雲、そして夕焼けも。
「雲焼けて 静かに夏の 夕かな」(高浜虚子)
明日も晴でしょうか。暑い日になりそうですね。
Shousho
夏景
葛焼、味甚粉
祇園祭の神事始めとして行われる吉符入り。
続いて祭に向けて鉾建てや神輿洗いなどの行事が行われます。
梅雨明けころの暑い京都の町。鉾町を中心に華やかに賑わいます。
「旅なれば この炎天も 歩くなり」(星野立子)
Geshi
雨の庭
羽二重、白餡
「なかなかに 足もと冷ゆる 梅雨かな」(飯田蛇笏)
雨が多い時季になりました。
薫風と青空の下で咲きはじめた鉄線
雨降るたびにより存在感が増したようです。
Boshu
水辺の夏
薯藷餡、黒糖餡
睡蓮が若葉で水面を覆い、静かに蕾をつけるころ。
「睡蓮の 葉よりも青き 蛙かな」(阿部みどり女)
睡蓮に蛙。雨が似合う風景です。
そろそろ青空を恋しく思う季節がはじまりますね。
Shoman
玉水
薯藷、こし餡
梅雨に入る前のとても過ごしやすいころ。
「うつすらと からかみ青き 五月かな」(山口誓子)
青い空、初夏の風、川のせせらぎ、小径の草木…。
自然の息吹に耳を傾けてみてはいかがでしょう。
Rikka
早苗田
薯藷黒糖餡、白餡
陽の光を浴び、初夏の風景を映す田の水面。
八十八夜、立夏を迎え、茶摘みや田植えもはじまります。
「そよ風を 受くる早苗の いとしさよ」(日野草城)
早みどりが美しい清々しい季節です。
Kokuu
踏青
薯藷、粒餡・蓬
春を彩った花のあとは穀物にとって恵みの雨が降る時季です。
「苗床に うす日さしつつ 穀雨かな」(西山泊雲)
小径の野草、庭のつつじ、いちょうの若葉……。
雨に濡れたり、光を浴びたりと、若い緑がさまざまな表情を見せてくれる季節です。
Seimei
うららか
浮島・蒸羊羹、銀箔
華やか春をいろどる桜。
ともに咲き、青空とのコントラストを魅せる木蓮の花。
「野に出でて 写生する春と なりにけり」(正岡子規)
うららかな過ごしやすい季節がはじまりましたね。
Shunbun
菜の花
薯藷餡、粒餡
日を浴びる菜の花畑の黄と緑のコントラスト。
春を代表する風景の一つでしょう。
「菜の花の 中へ大きな 入日かな」(夏目漱石)
黄昏時、深い色へと変わる菜の花畑も趣がありますね。
Keichitsu
春晴
薯藷、粒餡・こなし
「啓蟄や 日はふりそそぐ 矢の如く」(高浜虚子)
陽を浴びて庭に咲く椿の花。あたたかな日を待っているようです。
梅や椿につづいて咲く桃や桜、菜の花……。
春がはじまろうとしていますね。
Usui
梅の香
こなし・白餡、銀箔
寒さのやわらぎとともに梅も咲き、見ごろを迎えそうです。
今年は一週間早いのだとか。
「梅の香や 吸ふ前に息は 深く吐け」(石田波郷)
春を感じる梅の香り。リラックスの効果もあるようです。
Risshun
芽ぐみ
羽二重、粒餡、青州浜、銀粉
青々とした若い緑の時季はまだ先のようですが、
地中では人目につかず、草の芽が生まれている季節です。
「下萌えて 土中に楽の おこりたる」(星野立子)
土の中ではどのような音楽が聞こえるのでしょう。
これまでの和菓子と暦
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